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2007年07月 アーカイブ

2007年07月08日

高まるマンション管理への関心

管理費の減額について


 長引くデフレ経済で、様々な物が安くなり、新築マンションの価格も下がってきました。収入は頭打ちでも、税金などの負担は増していくばかりです。

 こういった中で、マンションの管理費と修繕積立金はあまり変わっていません。入居後、値上げされるケースもあります。

 ただ、そういった問題に気づかない人は多くいます。国土交通省が行った調査によれば、現行の管理費について妥当な額であるという答えは半数で、減額すべきだとの答えは10%にも満たなかったのです。

 これは、つまり「管理なんて自分には関係ない」という人が多いのでしょう。ですが、マンション選定時で大事なことは、管理が優良かどうかです。

 既にマンションを所有している人や、これから購入しようとする人も、自分が支払うお金が有効活用され、住み心地や資産価値が維持されるよう、マンション管理の重要さを知っておいたほうがいいでしょう。

秘密主義からユーザー志向へ


 管理組合を対象に、マンション管理に関わるサービスを提供している業者は、2600社を超えており、大体、大手不動産会社(デベロッパー)の系列管理会社が多数を占めています。それは、デベロッパーが分譲時に系列の管理会社をセットするためです。

 マンションの所有者や管理組合も無関心であるために、管理会社をほとんどチェックしてこなかったため、時を経るにつれてマンション管理業界には、閉鎖体質や秘密主義となっていきました。

 ですが、管理組合向けのコンサルティングで、分譲当初に設定された管理委託費は割高であることや、管理会社の変更も可能なこと等が、知られるようになってきたため、そういった秘密主義的な状況が変わりつつあります。

 ある分譲マンション管理の調査では、管理委託契約の変更があったところが5割以上あり、管理委託費の値下げは8割近くを占めたそうです。

 こうした動きに、管理会社も考えを変え始め、ユーザー志向の観点にたってきたようです。どこまで本当か分かりませんが、マンションの所有者も自分たちの管理会社が、ユーザー志向であるかどうか、見極めていくことが大切です。

中古マンションの維持・管理

永住志向の増加


 昭和30年代後半に、分譲マンションが登場してきました。その後、現在ではストックが全国で450万戸以上であり、そこに住む人の数は1200万人以上となっています。

 近頃は、マンションに永住したいと思う人が増えています。マンションは一戸建てのへの仮住まいではなく、ひとつの都市型の住宅形態として、日本の社会に定着しつつあります。

中古マンションの流通促進


 こうした状況を鑑みて、国は分譲マンションを社会的ストックとしてとらえ、維持管理の大切さを認識し始めています。

 マンション関係の国が行ってきたことを少し挙げてみましょう。

平成13年 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(適正化法)の施行

平成14年 マンションの建て替えの円滑化に関する法律(円滑化法)の施行

平成15年 マンション標準管理委託契約書の改訂
      建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の一部改正

平成16年 マンション標準管理規約の改正
      改修によるマンションの再生手法に関するマニュアルの公表

上に挙げたのは一部ですが、主に国が重視しているのは、中古マンションの流通促進を図ること、その改修や建て替えについて制度的な枠組みをまとめることです。

中古マンションの流通促進に関しては、マンション管理情報のデータベースシステムの構築管理状況を判断する指針の作成などが行われています。

また、改修や建て替えについては「マンション建て替え円滑法」や「改修によるマンション再生手法マニュアル」の公表などがあげられます。

 こういった国の動きは実際のマンション管理の現場にも影響を与えずにはおきませんから、それぞれの内容や意味を理解しておくことも必要です。

マンションの権利関係

区分所有


 マンション管理で問題となるのは「分譲マンション」です。賃貸マンションは、オーナーが土地や建物を全部所有しており、シンプルですが、分譲マンションでは土地・建物の権利関係が独特です。

 この権利関係を「区分所有」といいます。簡単に言うと、ひとつの建物に、それぞれの購入者が所有する部分と、全員の共有になる部分が存在するのです。

区分所有法では、ひとつの建物の中で購入者が所有する部分を「専有部分」、全員の共有になる部分を「共有部分」と呼びます。

分譲マンションと一戸建ての違い


 分譲マンションと一戸建てでは、土地や建物の権利関係が違います。それを少し比較してみましょう。

分譲マンション

○建物

 ・建物の大規模修繕などでは、管理組合での手続きが必要。
 ・専有部分は区分所有者の対象となり、売買したり抵当権を付けたりできる。
 ・維持管理のための費用を、管理費などで徴収する。

○土地

 ・区分所有者皆の共有。
 ・建物の専有部分と分けて、土地の持分だけを売買したり抵当権をつけたりできない。

一戸建て

○建物

 ・所有者の判断と費用で建て替えが可能。
 ・土地とは別に、売買したり抵当権をつけたりできる。
 ・維持管理は所有者の判断と費用で行う

○土地

 ・単独所有である
 ・建物とは別に、売買したり抵当権をつけたりできる。

まとめると、一戸建ては、基本的に自分の判断で何事も行えますが、分譲マンションは他の住民と共同しなくてはいけない部分があるということになります。

専有部分と共有部分

専有部分の考え方


 専有部分の考え方には、「内壁説」「壁心説」「上塗り説(折衷説)」の3つのタイプがあります。

 内壁説は壁などの表面までが全て共用部分となり、区分所有者は壁紙の張替えも自由にできません。また、壁心説はコンクリートの壁の中心線までが専有部分であるため、ボルトなども自分の判断で打ち込めることとなり、不都合です。

 ですから、一般的には上塗り説が有力となっています。

共用部分の区別


 共用部分には、「法定共用部分」と「規約共用部分」の区別があります。

 法定共用部分とは、階段やエレベーターのように構造の点からも用途の点からも共用部分とされる部分です。一方、規約共用部分は、集会室など各住戸と同じくコンクリートの床、壁などで区切られており、本来専有部分になるところを共用部分としたものです。

 共用部分で注意すべきなのが、専用使用権が設定された部分です。これは、全員の共有でありながら特定の区分所有者だけが使用できるというものです。

専用使用権が設定された共用部分は普通、他の区分所有者が勝手に立ち入ったり、使ったりすることはできません。専有部分と共有部分の区別はなかなか難しく、何かトラブルが発生すると誰がどのように責任を負うかで問題になることが多々あります。

例外として、配管・配線の故障で被害が出た場合、原因箇所が分からなければ、共用部分の問題と推定するという規定が区分所有法にありますが、やはり限定的です。

ですから、あらかじめ管理規約できちんと分けておくことが必要になります。

専有部分と共有部分(2)

マンション標準管理規約


国土交通省の「マンション標準管理規約」は多くのマンションが参考にしています。その中では「専有部分は住戸番号を付した住戸とする」とし、共用部分との境界について次のように示しています。

○天井、床、壁は躯体部分を除く部分を専有部分とする
○玄関扉は、鍵および内部塗装部分を専有部分とする
○窓枠およびガラスは、専有部分に含まれない

これは「上塗り説」を採用したものであり、各住戸の玄関扉やサッシの窓枠、ガラスは共用部分と捉えられ、独断で手を加えたりはできません。

 ただ、例外として玄関扉の鍵と室内側の塗装は専有部分であるため、所有者の判断で交換したり、塗り替えたりすることができます。

 マンション標準管理規約では、機械室、メーターボックス、インターネット通信設備、ケーブルテレビ設備、オートロック設備などは、住戸内に設けられているものも含めて全体が共用部分としています。

 給配水管は接合部分が多く、メンテナンス費用や損害発生の場合の責任も結構、明確にできるということで、専有部分と共有部分に分けています。

具体的に言うと、メーターボックス内にある本管から量水メーターまでが共用部分、メーターから先の各蛇口までが専有部分となります。

また、排水管については、パイプスペースにある堅管から各住戸の横引き管の継ぎ手までが共用部分、その先(横引き管)が専有部分となっています。

 築年数の古いマンションの中には、排水管(横引き管)が床コンクリートを貫通し、下の階の天井裏を通っているケースがあります。こういう場合、共用部分とする判断が、最近の最高裁判例で示されています。

分譲マンションの購入=管理組合の一員

管理組合


 原則として、マンションの専有部分は、各々の所有者(区分所有者)が自らの責任と負担で管理することになっていますが、共用部分は区分所有者全員の共有ですので、話が別となってきます。

 民法の原則では、共有者は持分に応じて全ての共有物を使うことができますが、管理することについては持分価格の過半数、変更する場合は全員の同意を得る必要があります。

 ですが、戸数の多いマンションで皆の同意が得られなければ建物の共用部分や敷地を変更することができないとなれば、大規模補修や建て替えが非常に困難、もっと言うと不可能になってしまいます。

 そこで、区分所有法において特別な規定がおかれているのです。区分所有法第3条から一部を抜粋すると、

区分所有者は、全員で建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規定を定め、及び管理者を置くことができる

とありますが、この団体こそが管理組合です。

 管理組合は、各住戸が複数の購入者のものになれば、特定の手続きをしなくても成立します。また、マンションの区分所有者である限りは、管理組合を抜けることはできないのです。

 後に、マンションの区分所有者になった人も管理組合のメンバーとなりますが、逆に区分所有者でなくなった人は、その時点で管理組合から外されることになります。

 ところで、区分所有法でも管理組合が何を行うかは定められていません。集会での決議を基にして、規定を定めているだけです。

 マンション標準管理規約の中の17項目の業務や、管理組合としての性質を逸脱するものでなければ、他の業務を付け足すことは自由となっています。

区分所有者全員が守る管理規約

スムーズに運営していくために


 一定のルールをあらかじめ決めておけば、管理組合の運営もスムーズに進みます。そのために、区分所有法ではマンション管理に関わる基本的な事項を、組合の総会決議によって規約として定めることができます。一般的に、規約に取り入れるものは

・共用部分の範囲  ・管理組合の業務内容  ・管理組合の運営方法

などです。

規約違反にはペナルティーも


 いったん規約を定めると、その効果は区分所有者全員に及ぶことになります。売買や相続で新しく区分所有者になった人でも、やはり規約を守る羽目になります。

 また、マンションを借りた人も設備や建物の使用方法等に関して、区分所有者と同じく義務を負うことになります。

 規約に反する行為をした場合、管理組合は損害賠償などを請求することが可能となります。ですから、管理規約は「マンションの憲法」と言っても過言ではありません。

新築マンションの管理規約


 新築マンションは少し例外的です。デベロッパーが事前に作った規約案をマンション購入者に渡して、書面で全員の承諾を得る方法を採用しています。これは、まだ所有者が決まってない段階で規約案を作る必要があるためにこういった方法をとっています。

ただ、デベロッパーやデベロッパーの選定した管理会社の一存で決められてしまうので、問題も起きてきます。

管理会社に都合のいい内容であったり、一部の区分所有者に有利であるなど、不公正な内容もあったりするので注意を払わなければいけません。

細かいルールは使用細則で

管理規約の補足


 管理規約は、大まかなことは決めることはできても、細かいことまではなかなか行き届きません。それを補うために、使用細則というルールが作られています。

 使用細則は日常生活における注意事項や共用部分・専有部分の使い方について、具体的なルールを定めたものです。

 これまで、色んなマンションで問題になった事などを踏まえて、事前に使用細則として決めておくことで、問題が発生しても円滑に処理することができます。
        
 実際に使われている使用細則を少し挙げてみましょう。

会計処理細則

 管理費や修繕積立金の徴収方法・口座の管理、会計処理の詳細などについて定めたもの

諸届出に関する細則

 長期不在の場合、賃貸する場合など管理組合に対して必要な届出について定めたもの

ペット飼育細則

 管理規約でペットの飼育を認める場合に、動物の種類、数、管理組合への届出、飼育方法などについて定めたもの

管理費等の滞納の督促及び延滞金などの徴収に関する細則

 滞納があったときの督促手続き、延滞金の計算、費用の徴収などについて定めたもの

このようにマンションの特性に合わせた使用細則が、あらかじめ用意されていれば問題はありません。しかし、実際は種類が少なかったり、内容が一般的過ぎたりします。

 そこで、自分たちで使用細則の内容を変更したり、新しいものをつくることも大切です。ただ、使用細則の対象によって手続きが違ってきます。

 建物の共用部分や付属施設などの使用に関しては、総会の普通決議でいいのですが、専有部分の使用に対する規制は、事前に管理規約を変更してからでなければいけません。

 管理規約と使用細則は一体であると捉えるべきです。ですから、この2つがうまく機能しているマンションは、一般的に管理の行き届いた良いマンションであると思っていいでしょう。

住民の親睦のための自治会

良好なコミュニティ形成のため


 管理組合とは、区分所有者から必然的に生まれる法律上の団体ですが、自治会は少し意味合いが違ってきます。ある意味、町内会のような任意の団体で、住民同士の親睦を図り、行政と地域との窓口等として機能しています。

 管理組合と使用細則の大きな違いは、管理組合は強制的で必ずメンバーの一員とならなければいけませんが、自治会は入るも入らないも自由だということです。

 少し両方を比較してみましょう。

○成立

 管理組合……区分所有関係に伴い、必然的に成立 
 自治会……有志が集まって、団体の結成を合意すれば成立

○運営

 管理組合……管理規約を定め、総会や理事会などを設けて運営
 自治会……規約を定め、総会や役員会などを設けて運営

○費用負担

 管理組合……管理費、修繕積立金などとして徴収
 自治会……自治会費として徴収。一定の条件を満たせば、行政から補助金が出ることも

このように、管理組合と自治会は様々な点で異なりますから、同じマンションであっても役員は別々に選んだほうがよく、活動もスムーズに進みます。

相互に協力すべき関係


 管理組合と自治会は団体としては別物ですが、お互いに支えあう関係にあるといえます。

 管理組合員ではない、分譲マンションを借りて住んでいる人でも自治会に入ることは可能です。自治会がうまく機能し、素晴らしいコミュニティが形成されれば、マンション管理も円滑に進みます。

 管理組合の業務として、マンション標準管理規約の中にも「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が盛り込まれています。

 これから、管理組合と自治会の連携は必要不可欠なものとなっていくでしょう。

マンション管理はあくまで管理組合

方針を受け、遂行する管理会社


 区分所有者、そして区分所有者の団体である管理組合が、主にマンションの管理を行っていきます。ただ、仕事などがあるために管理組合の活動に時間を割くのは、なかなか容易ではありません。

 また、マンションを管理するためには、多岐に渡る分野の専門知識が求められますが、区分所有者の大半が、これらについて詳しくありません。

 その点を補うのが、管理会社です。今では、ほぼ全ての管理組合が管理会社に業務を委託しており、管理会社に頼らないところは極めて稀です。

 一般的に、管理組合が方針を決定して、管理会社が具体的に遂行していきます。ですが、実際には全てをデベロッパーや管理会社にまかせっきりというケースが多くを占めます。

 それに、管理会社のほとんどは分譲時に売主であるデベロッパーが決めたところです。区分所有者によるチェックがしっかり働いているのか否か、明確ではありません。

 

管理委託契約


管理組合は管理会社との間で「管理委託契約」という契約を結んでいます。

管理会社は、管理委託契約を管理組合と結ぶ際には、原則として「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により、事前に重要な事項に関する文書配布及び説明会を開くことが義務づけられています。

 契約書については、「マンション標準管理委託契約書」を発表しています。全てを任せると、管理会社に都合のいい契約書を作成されることも無いとは限らないので、しっかりと契約内容をチェックすることも大事です。

マンションに住むことが不向きな人

人間性で異なる


 分譲マンションというのは、見ず知らずの他人同士が同じ建物で暮らし、建物の一部や敷地を共有するという居住形態です。ある意味、共同生活とも言えるものなので、マンションに住むのが向かない人もいます。

 では、どういった人がマンション生活に向かないのか、例を挙げてみましょう。

○協調性に欠ける人

 ・自分の意見だけを押し通し、他人の意見には耳を貸さない
 ・自分の権利意識は強いが、区分所有者としての義務を果たさず、住民全員のことを考えない
 ・総会や理事会での、ちょっとしたミスなどを厳しく追及する

○マンション管理に対する認識が無い人

 ・管理組合の役員をいっさい引き受けない
 ・管理規約に無関心で、我関せずの姿勢をとっている
 ・管理組合の総会に全く顔を出さない

○区分所有者は対等であると思わない人

 ・職場の地位などを管理組合の場に持ち込む
 ・管理組合の中の肩書き等にこだわる
 ・社会的地位から人を見下す

○自己中心的な人

 ・ゴミ出しのルールを無視する
 ・深夜でも窓を開けて、大音量で音楽をかける
 ・バルコニーで騒いだり、バーベキューなどをする

 こういった人は、マンション以外でも様々な問題を引き起こすと考えられます。その人の人間性が管理組合の場で如実に現れてくるのです。

 では、こういうマンションに不向きな人がいたら、そのマンションは運営がスムーズに進まないのかというと、そうではありません。

たとえ、問題を引き起こすトラブルメーカーがいたとしても、マンション内にその人を上手にフォローし、調整するような人が存在すれば全体としては滞りなく進みます。

マンションというものは、いわば社会の縮図であり、そこに様々な人間模様が彩られています。そこでのいざこざも、人生を生きていく上での貴重な経験となる可能性もあります。

無断駐車

私有地での問題


 マンションの敷地内は私有地です。公道で駐車禁止のエリアに止めることは、「違法駐車」といいますが、私有地であるマンションの敷地内で、駐車場でないスペースに勝手に車を止めるのが「無断駐車」です。

 無断駐車はマンション管理のトラブルでも、最も対応が難しい問題だといえます。根本的な解決方法がないというのが現状です。

 とはいえ、なんらかの対応をしなければいけません。どういった事をすればいいのか例を挙げてみましょう。

・駐車場内に契約車両のナンバー表示を取り付ける

・駐車場の出入り口に施錠できる扉やチェーンを設置して、契約者は鍵を持ち、出入りのたびに施錠する

・敷地内や駐車場を定期的に巡回し、違法駐車をチェックする

・規制看板や注意看板を設置する

・無断駐車されやすい場所に、何か物を置き、駐車をしにくくさせる

・駐車場内や周辺を街灯などで明るくする

以上、ざっと挙げてみましたが、これらの対策もなんのその、それでも無断駐車をする人はいるものです。大抵、決まった人物で確信犯である場合がほとんどです。

 ですから、誰がよく無断駐車するのかを特定します。そして、電話や面談などで説得を試みて、それでも駄目なら法的措置を警告することも考えておきましょう。

 このほかにも、無断駐車を頻繁にする車の写真を掲示板に貼ったり、監視カメラを設置するのもひとつの方法です。ただし、写真を掲示板に貼る場合、所有者の名前まで公開するのは問題となるので気をつけましょう。

規約違反者に対して

議論で解決


 一般的にトラブルを解決するために、民法を活用することがあります。他人に損害を与えた人に対し、損害賠償請求や差し止め請求などができます。民法第709条から抜粋すると、

第709条(不法行為責任)
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

これは問題解決の有力な手段といえるでしょう。

 さらに、区分所有法ではルールを守らない人に対して、専有部分の使用禁止請求、区分所有権の競売請求、占有者に対する引渡し請求が認められています。

 ただ、こういった法的措置をとるには、いろいろと問題があるため、そうそう簡単にはできません。区分所有法上の競売請求、引渡し請求などは総会で区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要となります。

 無断駐車、生活騒音、ペット飼育などのトラブルで、そこまではなかなか踏み切れるものではありません。むしろ、そうなってしまうまで問題を放置していたことがいけなかったとも言えます。

 では、どうするのかですが、日常の話し合いや議論をまめに行っていくことを奨励します。様々なトラブルについて、組合員の皆で話し合って解決しようとする姿勢が大切だと言えます。

 一部の関係者だけや理事会と当事者の間だけで処理をしようとすると、問題がこじれて悪化してしまうこともあります。

 日頃からそういった問題に対して、区分所有者に広報し、総会での議案に取り入れることも大事なことです。

2007年07月15日

大規模修繕について

劣化を防ぐために


 よく知らない人は、マンションをイメージしたときに、コンクリート造りで頑丈そうだからメンテナンスは不要、だと捉えがちですが、そうではありません。マンションの建物や設備には、時間の経過と共に劣化や不具合が生じてきます。

 時を経るにつれて、コンクリートは中性化が進行します。これは、大気の二酸化炭素などの影響で、コンクリートの強アルカリ性が中和される現象です。

 仮にコンクリートの中性化が鉄筋まで達したとすると、鉄筋が錆びて膨張し、構造の強度が大きく低下してしまいます。この中性化を遅らせるために、コンクリート表面のひび割れの補修や仕上げのやり直しが必要となってくるのです。

 給排水管は定期的に掃除していても、錆や汚れがひどくなったり腐食がすすんだりしますので、更生工事(管の内側を削って新しい塗膜をつくる工事)や取替え工事(新しい給排水管を設置する工事)が重要となってきます。

 こういった設備や建物の劣化現象をなるべく抑えて、マンションの機能や性能を維持していくために、修繕工事を行っていくのです。

大規模修繕


 大規模修繕とは、修繕工事の内、特に規模が大きく、屋上防水や外壁の補修などのことを指します。大規模工事は工事費用も非常に高く、規模によっては何千万円とかかるケースもあります。

 そのため、しっかりした準備と計画が必要不可欠となってきます。マンションの状況をよく見て、どの時期にどういった規模で工事を行っていくのかを見極めることも大切です。

工事費用の調達

修繕積立金でまかなう

 
当たり前のことですが、修繕工事にはお金がかかります。その工事が大規模修繕であればあるほど、莫大な金額となっていくのです。その費用を捻出するためには、長期間に渡って修繕積立金を準備していく必要がでてきます。

ですが、デベロッパーは販売戦略上、分譲時に修繕積立金をできる限り低く設定しようとします。また、引渡し時に一時金として「修繕積立金」を徴収したり、修繕積立金を段階的に引き上げたり、10年後あたりに「修繕積立金」を徴収しようとする場合もあります。

そこまでしても、実際には修繕積立金が不足してしまいます。そのため、一時徴収金として区分所有者から集めたり、金融機関からお金を借り入れることも珍しくはありません。

大規模工事を行った管理組合の中にも、こういった資金調達法を併用しているところもあります。これから大規模修繕工事を予定している管理組合でも、修繕積立金のみというところはあまり多くを占めません。

マンション管理を見直すきっかけ


 このように修繕積立金の値上げや、一時徴収金はマンションの為に仕方ないとはいえ、区分所有者にとっては迷惑以外のなにものでもありません。ですが、逆にそのことがマンション管理を見直すきっかけとなるのです。

 自分たちに費用の面で負担がかかってしまう、と思えば管理意識もいやおう無く高まっていくというものです。

 マンション管理の問題を区分所有者が本気になって取り組むには、大規模修繕にどれくらいの費用がかかるのか、資金の不足はいくらか、など早い段階で全員に情報開示すれば有効だと考えられます。

大規模修繕工事の発注

3つの発注


 大規模修繕を依頼する工事業者は始めからひとつに絞らずに、管理会社、ゼネコン、専門工事業者など複数の会社に発注したほうがいいでしょう。

 発注方式については「指名発注」「競争入札」「見積もり合わせ」の3つがあります。

指名発注は、最初からひとつの会社に絞って依頼すること、競争入札は工事仕様を決定した上での価格だけを比較すること、見積もり合わせは工事費と工事内容に関する提案等も共に入札してもらうことです。

 マンション総合調査によると、競争入札・見積もり合わせが両方で約7割、指名発注が約3割というデータがでました。

 発注した理由を挙げてみましょう。まず、指名発注は

・そのマンションの管理会社だったから
・そのマンションの施工業者だったから
・区分所有者の知り合いの業者だった

一方、競争入札・見積もり合わせは

・信頼性が高そうだから
・費用が安かったから
・専門家診断の見積額に近い

 競争入札・見積もり合わせは、価格とともに業者の豊富な経験や技術力をしっかりチェックしている人が多いからと思われます。指名発注では、これまでの経緯から惰性的に管理会社に任せている面があるからでしょう。

 両方を比較してみると、競争入札・見積もり合わせのほうがいいといえるのではないでしょうか。

 また、大規模修繕は莫大な費用がかかりますし、区分所有者が生活しながらの工事になるので、配慮が必要となってきます。

 競争入札か見積もり合わせ方式で、複数の会社に声をかけて価格や経験、技術力などを総合的にみたうえで選択したほうが賢明です。

管理費と修繕積立金

マンション管理の費用


 マンションを管理していくには、様々な費用がかかります。それらは、管理組合が窓口となって支払っており、最終的にはマンションの区分所有者が負担していくものです。

 マンション管理に関わる費用には、支払いの周期や目的に応じて「管理費」「修繕積立金」の2つに分けられます。その違いを少し、比較してみましょう。

管理費

○性質

 日常的な管理業務の費用支払いのため集めるお金

○用途例

 ・管理員費  ・設備点検費用  ・清掃費  ・共用部の水道光熱費 など

○集め方

 毎月、管理費として徴収する

○注意点

 ・駐車場収入を管理費会計に組み込むことで、見かけ上安く設定されることもある
 
修繕積立金

○性質

 数年から数十年おきに発生する修繕工事のため積み立てるお金

○用途例

 ・鉄部の塗装  ・屋上の防水工事のやり直し  ・給排水管の取替え など

○集め方

 ・毎月、修繕積立金として徴収
 ・マンション購入時に修繕積立金として一括で集めたり、大規模修繕の際に一時負担金として集めることも

○注意点

 ・分譲当初の設定が低すぎるため、後で引き上げられることがある
 ・実際の修繕工事にあたって不足していると、一時負担金を徴収したり、管理組合としてローンを借りることになる

大体、管理費は「上手に使うお金」で、修繕積立金は「きちんとためるお金」といえるでしょう。管理費は無駄を省いて、同じ額でいかにして業務内容の質を高めるのかがポイントです。

 一方、修繕積立金はここぞという時に不足することが無いよう、注意する必要があります。また、両方を別会計にして混同することなく管理しなければなりません。

駐車料収入

修繕積立金に組み入れるべき


 駐車料収入の処理に問題があるマンションは、多くあります。本来は、管理費と修繕積立金の区別と同じで、例えば、機械式駐車場における電気代や保守点検費用は管理費会計で処理し、残りは将来に備えて修繕積立金に組み入れたほうがいいでしょう。

 平置き駐車場なら、全額を修繕積立金会計に組み入れてもおかしくありません。しかし、この原則を遵守してないケースがよく見受けられます。駐車場収入のほとんどの部分、場合によっては全額を管理費会計に組み入れていることがあります。

駐車料の多くを管理費会計に組み込んでしまうと、将来の装置入れ替え費用が不足してしまいます。機械式駐車場の場合は、特にその傾向が顕著です。

それに月々の管理費会計にも悪い影響が出てきます。たとえ、駐車場が住戸数の100%用意されていたとしても、10~20%は駐車場を借りない人がいます。そうなってくると、管理費会計がすぐ赤字になってしまい、管理費を値上げする必要が出てきます。

こうした問題があるにもかかわらず、どうして駐車料収入のほとんどを管理費会計に組み込むようなことが行われているのでしょうか。

それは初年度予算を作成したデベロッパーと管理会社に責任があるといえます。というのは、デベロッパーは販売戦略上の観点から、管理費を抑えるために駐車料収入を自分たちに都合のいいように振り分けているからです。

また、管理会社の場合は月々入ってくる管理委託費を一定水準で確保するために、やはり駐車料収入を都合よく調整しています。

こういったデベロッパー、管理会社の自分勝手な思惑で決められた管理費、修繕積立金では、その先、問題が生じやすくなるのは目に見えています。

逆に、このような駐車料収入の処理の仕方を見れば、デベロッパーや管理会社の良し悪しを見分けることができると言えるでしょう。

管理組合のお金の流れ

3つの支払い方式


 一般的に、管理組合では各区分所有者の口座から管理費と修繕積立金などを毎月引き落とし、管理組合の口座を(収納口座)に振り替えます。その中から、必要な支払いを済ませ、修繕積立金の分は1ヶ月以内に積み立て用の口座(保管口座)に移し替えます。

 この流れにおいて、お金が入る口座(収納口座)の名義、及び通帳、印鑑の保管方法によって3つの方式があります。

原則方式

○管理費・修繕積立金の徴収方法

 ・ファクタリング会社(銀行からの引き落とし代行会社。管理組合が契約)を使用
 ・または、管理組合の口座に直接入金する

○収納口座

 ・口座名義:管理組合(理事長)  ・通帳保管:管理会社  ・印鑑保管:管理組合

○保証契約
 
 ・不要

支払一任代行方式

○管理費・修繕積立金の徴収方法

 原則方式と同様

○収納口座

 ・口座名義:管理組合(理事長)  ・通帳保管:管理会社  ・印鑑保管:管理会社

○保証契約

 ・必要

○その他

 入金後1ヶ月以内に、修繕積立金については修繕積立金口座に移管しなければいけない

収納代行方式

○管理費・修繕積立金の徴収方法

 ・管理会社の口座を経由する
 ・ファクタリング会社(管理会社が契約)を使う

○収納口座

 ・口座名義:管理会社  ・通帳保管:管理会社  ・印鑑保管:管理会社

○保証契約

 ・必要

○その他

 入金後1ヶ月以内に、修繕積立金については修繕積立金口座に移管する必要がある

最近では「原則方式」よりも「収納代行方式」や「支払一任代行方式」が一般的に採用されているようです。

マンション管理適正化法では、管理会社がコントロールするこうした管理組合の資金についての分別管理、及び重要事項説明における保証契約の説明が義務付けられています。

また、(社)高層住宅管理業協会では、加盟の管理会社に対する保証制度を実施しています。支払一任代行方式などの場合、管理会社がこの保証制度を利用できるか確認しておきましょう。

管理組合の損害保険

様々な損害保険


 マンションの損害保険は、専有部分については各区分所有者が掛けて、共用部分については管理組合で掛けるのが原則となっています。

 掛け捨て型、もしくは積み立て型の火災保険は、管理組合が共用部分につける損害保険としては一番ポピュラーなものです。これらの保険では、共用部分の火災とその消火活動によって出た被害、あと雪、落雷、暴風などによる損害がカバーされます。

 とはいえ、共用部分には可燃性のあるものは多くないので、共用部分の評価額全額に保険を掛ける必要はないといえます。

 ただ、地震による被害には注意を払うべきです。火災を含めて地震が原因の被害に備えるには、「地震保険」を付けなければいけません。これには、加入しておくことをお薦めします。

 共用部分の被害に備えるものが火災保険だとするなら、共用部分がもとで他人に損害を与えた場合に備えるのが「施設所有者賠償責任保険」です。

これは例えば、共用部分の排水管から水漏れして階下の住戸の家具などに被害があった場合、などに保険金が出るものです。

 また、管理組合を通し区分所有者がまとまって加入するのが便利な保険として「個人賠償責任保険」があります。これは専有部分の管理や使用不備などで、他人に損害を与えた場合、賠償責任をカバーするというものです。

 近頃は、管理組合専用として、これらを一つにした保険も開発されているそうです。ただ、いずれにしろ保険の保障範囲や保険金額について、度々見直していくことが大事だと思われます。

管理委託費の問題点

算定根拠があいまい


 通常、管理費のほとんどは管理会社に対して「管理委託費」の名目で一括して支払われます。ですが、大抵、その管理委託費の算定根拠があいまいだったりします。

 よく管理会社で行われる方法は、各業務について社内評価を設定しておき、それをもとに計算するものです。社内評価は、いかなる条件でも赤字にならないように一定の余裕を見込んであります。

 新築マンションでの見積もりは、この社内単価による合計金額に対し、さらに一定割合の利益を乗せます。逆に、周りの競合物件との比較による調整もされます。

 つまり正しい原価計算によって算出されるのではなく、様々な思惑や経緯を経て、決まることが多いといえます。

 また、管理委託費が割高なのとは対照的に、将来の大規模修繕などのための修繕積立金は低く抑えられているということです。そうなると、積み立て不足が明らかになり、修繕積立金を値上げしたり、臨時にお金を徴収する羽目になってしまいます。

 あと、管理委託費が割高であったとしても法律上は問題ないといえます。管理組合としては管理委託費の引き下げ交渉をし、契約しなおす必要があるのですが、引き下げができたとしても、これまで支払った分は戻ってきません。

 早い段階で引き下げをするか、そのまま放置しておくかで区分所有者全員の財産に大きな差がでてくると言えます。そうなると、新築マンションでは入居当初の役員の責任は重大といっても言い過ぎではありません。

管理委託費の引き下げ

値下げ要求について


 大抵、どこの管理会社も値下げ要求に対しては「現状が精一杯です」といった事を言ってくるものです。ですが、そこで諦めてはいけません。

 近頃は、まったく突っぱねる管理会社は少なくなってきており、いくらか値下げを提示してきます。ただし、それが年間総額に対していくら、という形式であったら要注意です。

 割高な部分はどこか、どれくらい割高なのかチェックしないまま総額での交渉を行うと、管理会社のペースで押されてしまいがちです。

 こういった総額での交渉は、管理組合が自分たちだけで行う場合によく見られます。やはり、管理会社と管理組合では情報の格差がありすぎます。

普段は仕事をしており、管理組合の役員も1~2年で交代しますから、管理業務の内訳ごとに突っ込んだ交渉などをするのが困難なのは、当然と思われます。

 管理委託費の引き下げでは、管理会社を変更するものだというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。ただ、他社に替える可能性を示したり、他社から見積もりをとったりすることは交渉していくうえで、必須といえます。

 また、管理委託費の引き下げでは、管理業務の内容は一切変えないことも前提にしたほうがいいでしょう。概して、管理会社は管理委託費の引き下げ分を管理業務のレベルダウンでカバーしようとします。

 管理業務は従来と同様にしておかなければ、気づかないうちに手抜きをされてしまうかもしれません。

管理委託費引き下げの手順

準備をきちんと整える


 管理会社との管理委託費の引き下げ交渉は、まず管理の状況の把握から始まります。管理会社との契約内容はどうなっているのか、業務ごとに金額の明細は出ているのか、契約どおりに業務が行われているのか、などをチェックしていきます。

 次に、管理委託費の引き下げの余地はどれくらいかを調べていきます。そのために、他の管理会社や専門業者に見積もりを依頼するといいでしょう。こういった準備をしっかりした後に、管理会社との交渉に入ります。

 委託費の引き下げは、管理組合(理事会)としての文書を作成し、郵便で送ります。そのとき、希望金額や回答期限を明記しておくことを忘れないようにしましょう。

 また、管理のグレードが落ちてしまっては意味がないので、サービスの内容である管理仕様は現状維持しておくのがスタンダードといえます。

 交渉の段階では、管理委託費全ての金額ではなく、業務ごとの金額を問題にしましょう。相手は引き延ばしを計ってくることもあるので、一定の期限を区切って、最終的な金額を提示してもらいましょう。

 相手側の最終回答に対して、理事会でどうするかを決めます。管理会社を替える場合、候補となる会社を決めて、契約というような手続きの流れになります。

 そして最後に臨時総会を開催し、従来の管理会社との契約解除、及び新たな管理会社との契約締結を決めますが、この場合は普通決議でも大丈夫です。

 また、スムーズな合意形成のために、交渉の経過報告を区分所有者に伝えることも重要なことです。

管理会社に関する視点

管理会社の役割


 マンション管理を事業として行う会社は国土交通省に登録することが義務付けられましたが、これは「マンション管理の適正化の推進に関する法律」別名「マンション管理適正化法」によるものです。

 現在、登録している管理会社は2600社以上になります。

 こういう管理会社のするべきことは、契約を結んだ管理組合をサポートすることですが、そのためには、必然的に専門知識や経験豊富なスタッフが必要となってきます。

 マンション管理適正化法では、管理会社は業務を受託する管理組合30につき1人以上、一定の試験に受かった管理業務主任者を置く必要があるとしています。

 マンション管理士や建築士、設備系統の資格保持者などを置いている管理会社も多くあります。管理会社の良し悪しは、こういった専門家がどれだけいるかでも見分けることができます。

アドバイザーとして


 管理会社は、新築マンションを開発するデベロッパーに対するアドバイスもしています。

 ある団体が、新築分譲マンションの管理システムの協議状況について調査をしたところ、新築マンションの管理システムに関して7割を超える管理会社が「全物件について事業主と協議」しているそうです。

 ちなみに管理システムとは、管理規約案、使用細則案の作成、当初管理費等の設定、管理委託業務の設定などのことを指します。

 また、新築分譲マンションの管理規約案等の作成主体についての調査では、「管理業者が主体となっている」という意見が半数以上を占めていました。

 管理会社は管理組合やデベロッパーとの関係でも、大きな役割を果たしています。マンションをうまく管理していくうえで、管理会社の存在は無視できないと言えるでしょう。

管理会社のタイプ

それぞれの特徴


 特に設備投資が必要というわけではないので、マンション管理は比較的、新規参入しやすい業界といえます。だからこそ、2000社以上の登録業者が存在するのです。

 管理会社は、その生い立ちなどから何種類かのタイプに分けられます。タイプによって利点や注意点など一定の傾向が見られます。

デベロッパー系

○利点

 ・設計や建設に関する情報を手に入れやすい
 ・親会社が販売したマンションの管理業務を安定して受注できる
 ・大手が多い

○注意点

 ・資本関係上、親会社の意向に左右されやすく、管理組合よりは親会社の利益を優先する傾向がある

ビルメンテナンス系

○利点

 ・建築や設備関係の資格保持者が多い
 ・清掃や建物設備などの経験が豊かである

○注意点

 ・管理組合の運営サポートなどが不得手

独立系

○利点

 ・他の管理会社からのリプレイスにもよく対応してくれる
 ・低価格をセールスポイントとしているところが少なくない

○注意点

 ・無理な低価格で業務の質が伴わないことがある
 ・管理委託費を安くしているので、その分大規模修繕など工事関係で収益を上げようとしている

ゼネコン系

○利点

 ・設計や建設に関する情報を手に入れやすい
 ・親会社が施行したマンションの管理業務を比較的安定して受注できる

こういった、それぞれの特徴とタイプ、傾向などを知ってうまく付き合っていくことが大切です。

 ですが、あくまで個別のケースをもとにした一般的な傾向なので、同じデベロッパー系でもそれぞれ違いがあったりするので、その点は注意しましょう。

管理会社の収支構造

管理委託費・人件費・外注費


 管理会社の主な収入は、やはり契約している管理組合からの管理委託費といえるでしょう。現在でも、いったん契約すると金額を含め、そのまま任せっぱなしという管理組合が多いものです。

 基本的に薄利多売ですが、とても安定性のある収入源といえるでしょう。

 実際の管理業務では、建物・設備のメンテナンスや修繕工事など多くの外注業務があります。こういった外注業務を管理会社が手配する際は、通常、手数料やバックマージンがあります。管理会社にとっては、これらも重要な収入となります。

また、管理会社は売主であるデベロッパーから、新築マンションの開発段階における管理システムの設定や分譲後のアフターサービスに関する対応など、いろいろな業務委託を受けていることがあります。

こういったデベロッパーからの委託費も収入のひとつに数えられます。

 一方、支出としては外注費や人件費が大きい項目としてあげられます。それ以外だと、先行投資や設備投資の必要性はそれほど無く、在庫を抱えるわけでもありません。

 支出面は、労働集約的なサービス業型といえます。ですから、親会社と連鎖倒産したり、
放漫経営で本業とは無関係な負債があったりしない限り、そうそう簡単にはつぶれないと考えられます。

 競争が激しくなってきた傾向もありますが、それでもマンション管理は一定の事業規模さえ確保できれば、安定した収益が上がりやすい業種です。

 
経営難に陥ったデベロッパーの再建でも、系列管理会社を切り離すという話はあまり聞きません。あくまでグループとしての相乗効果を狙っているところが、ひとつの証拠といえるでしょう。

管理会社の良し悪し

国土交通省に登録


 マンション管理を事業として行うには、「マンション管理適正化法」に基づいて国土交通省に登録してあることが前提となります。この登録をしていない管理会社は問題外といっても差し支えありません。

 一般的に、管理会社と管理組合の間では契約書を交わしています。それと並行して、仕様書が作られているかどうかが大切です。

 もし、仕様書が無ければいろんな業務管理をどうやって処理するのか検討がつきません。意外と、大手の管理会社もいい加減だったりします。

 注目すべきは、仕様書の中の会計管理です。管理費などの銀行自動振替、収納明細書、支出明細書、未集金明細書の作成、会計帳簿の整備などは、管理会社として非常に重要な業務です。

 こういった点をよく見ていけば、社内体制の程度や組織力がある程度判明します。

フロントマンの質


 フロントマンの質も、管理会社の良し悪しを見極める点で重要です。ちゃんと定期的に巡回して点検や管理員の指導をしているか、依頼をしたことに対して素早く的確に、そして期日どおりに処理をしているのか、などを見ましょう。

 担当しているフロントマンの質によって、マンションの管理会社が良質か、そうでないかが決まるといっていいでしょう。

 しかし、同じ管理会社の中でもフロントマンの実力には、結構差があったりします。始めは非常に優れていたにも関わらず、途中から平均以下となってしまうこともよくあります。

 これには、管理会社にとってそのマンションがどれほど重要かということと、管理組合の姿勢が少しばかり影響しているのです。

管理委託契約書のチェック

契約内容はしっかり確認


 マンション管理適正化法では管理会社に対し、管理委託契約を結ぶときには原則として、区分所有者全員に重要事項説明書をあらかじめ配布し、説明会を開くことを義務づけています。

 ここに注意すべき点があります。規約上、理事長が管理者になっているマンションで同一条件で契約を更新する場合は、理事長に対してだけ書面を交付し、説明をすればよしとされています。

 従来どおりなので、毎年代わる理事長が契約内容をよく確認せずに更新をしたり、または変更があっても覚書の形で処理し、契約書は元のままであったりというマンションが、少なからずあります。

 役員に選出された人は、一度国土交通省が公表している「標準管理委託契約書」を参考にして、今の契約書をチェックしてみましょう。

 例えば、解約について標準管理委託契約書では、3ヶ月前までに書面で申し入れれば無条件で可能としています。

 ですが、管理会社の中には「双方から申し出が無い場合は1年間、自動的に更新する」と実質的に解約させないようにしているところもあります。または、途中契約について契約書に何も記載していないことがよくあります。

 「標準管理委託契約書」には法的な拘束力はないので、そのとおりの契約にする必要はないと言えますが、管理組合の無知などにつけこんだ契約内容は、悪質以外のなにものでもありません。

 基本は相手との合意ですが、見直しを要求する必要があるでしょう。また、区分所有者や管理組合の方も、管理委託契約に対する意識などを高めていくことが大切です。

フロントマンと管理員

管理会社の窓口「フロントマン」


 管理会社をチェックする上で、しっかりと見るべきなのは管理会社の窓口となるフロントマンと管理会社が送ってくる管理員のレベルです。

 フロントマンというのは、様々な作業の手配を行ったり、理事会に出席してアドバイスをしたりします。管理組合にとっては、頼りになる存在といっていいでしょう。

 みんながみんな素晴らしいフロントマンならいいのですが、中にはそうでない人もいます。担当しているマンションの事情に詳しくなかったり、依頼に対する行動・処理が遅かったりします。

 フロントマン自身の資質や情熱の問題だったり、もしくは担当している数が多かったり、原因は様々なものがあるのでしょう。ただ、あまりにも問題があると思われるフロントマンは管理会社に伝えて、担当を交代してもらったほうがいいでしょう。

管理員のチェック


 管理員はマンションに来て、事務や清掃などの業務をおこなっています。たいして変化の無さそうな仕事のように思われますが、実際のところ、マンションの状況に応じて柔軟に対処していかなければいけません。

 大抵、年配の方が多く、教育研修が頻繁に行われるわけでもないので、自身の能力や実力などが管理員の良し悪しを決めるといっても言い過ぎではありません。ですから、高レベルの管理員は何処に行っても頼られる存在となるでしょう。

 現場の鍵を握っているのはフロントマンと管理員ですから、よく見極めて、あまり頼れる人でなければ、管理会社に変更を申し入れるようにしましょう。

管理組合の組織構成

区分所有法と管理規約で決まる


 マンション管理の主体となる管理組合は、区分所有者をメンバーとする団体であり、その構成は区分所有法及び管理規約で決まってきます。一般的によく見られる管理組合の仕組みを説明していきましょう。

 管理組合の考えや方針を最終的に決める場として、「総会」があります。これは株式会社で例えれば、株主総会といったところです。また、管理組合の基本的なルールである「管理規約」も、本来なら総会で決めたり、変更を加えたりします。

 次に「理事会」が設けられています。これは、総会で決めたことや、管理規約で決定されたことを基にして業務を行うためのものです。

 理事会は株式会社でいえば、取締役会にあたるもので、区分所有者の中から選出された理事で構成されています。

 そして理事の互選で「理事長」が選ばれます。これは、管理規約によって管理組合の「管理者」となり、対外的に管理組合を代表することになります。

監事・役員


 一般的に、管理組合には「監事」も置かれています。役割としては、理事会の業務や管理組合の会計などについてチェックをすることです。監事は理事会の一員でないため、決議に加わることはできませんが、理事会に出席して意見を述べることは可能です。

 「役員」とは、監事と理事を2つ合わせたものです。役員の選出方法は、大抵、各階から持ちまわりで1人ずつ出すというものになっています。「マンション標準管理規約」では、大体10~15戸につき1名を選び、最低でも3名、最高20名程としています。

 よく、専門委員会が理事会の下部組織として造られることがありますが、これは役員の人数が多すぎたり、専門的な問題を扱う必要がある場合に設けられます。

管理組合がスムーズに機能するために

問題を処理する理事会


 マンション管理の主体は管理組合であり、最高の意思決定機関は総会ですが、具体的に問題を処理したり、実際に管理組合の方針を考えるのは理事会です。

 理事会は管理規約によって設けられた機関であり、理事会の構成や会議の方法、決議方法なども規約で定めていきます。

 また、最近では理事会に大きな権限が与えられているようです。「マンション標準管理規約」でも、不法行為者への損害賠償請求などについて、理事会が法的な手続きを行えるという項目を入れています。

理事会の運営においては、理事長の役割は重要ですが、何でもかんでも理事長が決めてしまうというのは良くありません。1人が独断専行したりすれば、必ずトラブルの基になってしまいます。

 理事会全体が活性化していくことが大事なことであり、理事それぞれに担当業務を割り振るなど適材適所をして、上手にまとめていくことが望ましいと言えるでしょう。

重要な時期は分譲から2年間


 分譲から2年間はマンション管理にとって、とても重要な時期であるため、最低でも理事会を月1回は開催したほうがいいでしょう。

 なぜなら、この時期に管理組合のルール作成、管理委託費の見直しなどをちゃんとやっておかなければ、全てが後回しになりがちだからです。

 理事会に人が集まらなれば、きちんとした運営管理は望めません。理事会の活性化のために、また、理事会にメンバーが集まってくれるように様々な工夫を施していくことも大切な事だと言えるでしょう。

役員について

役員の選任方法


 役員の選任方法は、できれば立候補・推薦をしていきたいものですが、一般的なのは抽選や順番による選定です。

 選任方法には3つのタイプがあり、公募制、順番制、推薦制があります。この中で、よく採用されるのが順番制です。

 具体的な例としては、各フロアをグループとして分け、各グループから住戸の番号順に役員を選出するものです。

 ある調査でも、役員の選任方法として抽選や順番で選ばれることが多いようです。また、役員の任期については「1年」が多数を占めていましたが、「2年」が増加傾向にあるようです。

 というのは、毎年役員が交代すれば、理事会でのこれまでの経緯やいきさつ等が分からなくなり、管理組合の活動が滞ってしまうからです。理想としては、任期は2年で毎年半数改選することです。

長く理事をするのも考え物


 特定の人がずっと理事を続けていくというのは、いただけません。特に理事長は、どんなに良い人でも長く続ければ弊害が起きてきます。ですから、1期ごとに違う人が役割を務め、再任していく方法がいいでしょう。

 管理組合は区分所有法上の団体であり、組合員は区分所有者に限定されます。区分所有法には理事会に関する規定は無く、各マンションの規約上の組織であり、理事などの資格や選出方法、任期などは自由に決定することが可能です。

ですから、もし理事をする人が、なかなか見つからないようであれば、規約改正して、新たな選出方法を作り出すのもいいでしょう。

総会の運営

通常総会と臨時総会


 総会は管理組合の最高決定機関とされています。マンションの管理に関する重要な事項は全て総会決議によって決めることになっています。

 総会にも2種類のタイプがあります。ひとつは「通常総会」というもので、管理者が少なくとも年1回は開催する必要のあるものです。

一般的には、期が変わって1,2ヶ月以内に行われます。この総会では、管理組合の決算、役員の選任などの審議と決議、活動の報告などが行われています。

 もうひとつは「臨時総会」というものがあります。これは期の途中で、重要な問題があった場合に開かれるものです。原則として、理事長が臨時総会の招集をします。

総会の運営方法


 区分所有法で決められている総会の運営方法をまとめてみます。

招集権者

 管理者(理事長)が総会を招集します。

ですが、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を持つものは管理者に対し、議案を示して集会の召集を請求することができます。もし一定期間内に、招集通知が行われなかった場合、自ら総会を招集することが可能です。

招集通知

 総会が開かれる1週間以上前に、会議の目的となる事項(議案)を示し、各区分所有者に通知しなければいけません。

 これは、区分所有者にあらかじめ議題について調べたり、意見を整える時間を与え、出席するか否かなどの判断材料としてもらうためです。

 総会ではよく、組合員から緊急提案がなされて議決するケースがありますが、原則としてこれは無効です。ただ、例外として区分所有者が皆出席している総会で、全員の同意を得ることができれば、有効とされます。

総会の運営(2)

総会の運営方法(2)


議事運営

 一般的に、総会では理事長が議長を務め、議題の順から議論や報告を行っていきます。そのような中では書記が必要とされますが、これは理事の内、誰かが務めることとなります。

 また、アドバイザーとして管理会社からフロントマンが出席することが度々あります。

議決

 総会での議決には2つのタイプがあります。

 そのひとつが「特別決議」です。区分所有法上、規約改正や大規模修繕、建て替えなど区分所有者の権利関係に重大な影響のある事項について、区分所有者及び議決権の4分の3以上もしくは5分の4以上の賛成が求められます。

 規約改正と大規模修繕では、特定の区分所有者に特別の影響が及ぶ場合、その承諾も必要になります。ここで気をつけなければいけないのは、特別決議の要件は強行規定であることです。規約で別の定めをしても無効となってしまいます。

もうひとつのタイプが「普通決議」で、これは特別決議以外のものを指します。区分所有法では、区分所有者の人数と議決権のそれぞれについて過半数の賛成でよしとしています。

 マンション標準管理規約では、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席したうえで、出席組合員の議決権の過半数で決するとしています。要するに、普通決議については議決権全体の4分の1強で決めることも可能だということです。

記録

 総会終了後、理事長(議長)は議事録を作らなければいけません。ただ、実際には管理会社が理事長の代理で作成するのが一般的です。議長と総会に出席した組合員2名が署名・押印します。

 議事の経過の要領とその結果を、議事録に記載します。もし、理事長が議事録を作成しないなど職務怠慢的な行動をとれば、区分所有法によって罰金を科せられることになります。

役員の引継ぎ

上手な引継ぎを


 通常、管理組合では1,2年で役員が交代していきます。短期間で交代する理由は、同じ人がずっと役員を続けたり、区分所有者が管理に無関心になることを防ぐためです。ですが、管理の継続性やレベルの維持の面から見るとマイナスとなりえます。

 それをカバーするためには、上手な引継ぎが求められます。管理組合における通常総会で、新たな役人が選出されると、その後1~2ヶ月かけて引継ぎが行われます。ただ、これが円滑に進まなければ管理組合がうまく機能しなくなります。

 ですから、引継ぎをうまく行うことが管理の質を保つことにつながるともいえます。

では、引継ぎにあたって必要なものを挙げていきましょう。

書類関係

 ・設計図書  ・規約関係書類  ・建築設備点検関係書類

会計関係

 ・預金通帳(管理費会計、修繕積立金会計それぞれ)  ・各種台帳

 ・有価証券(保険証書、債権など)  ・管理組合の印鑑
 
鍵関係

 ・管理室の鍵、本数、保管者  ・設備関係の鍵、本数、保管者
 ・保管庫の鍵、本数、保管者

○その他

 ・管理会社との間で問題になっている事項
 ・理事会で継続して協議している事項
 ・管理組合でトラブルになっている事項とその処理の経緯、現状

大体、主なものは以上ですが、物の受け渡し以外にも、引継ぎにあたっては前の期からの申し送りや課題を伝えることが大切です。

 取り組んでいた課題については、その経緯や処理の方針などをよく説明し、その際に資料なども渡しておきましょう。また、交代する前に理事会に出席してもらい、どのように務めるのか教えておくのも必要なことです。

広報の手法

管理組合の活性化のために


 通常、管理組合に関する様々な情報は理事会などに集中し、区分所有者にはほとんど伝わってきません。

 別に全ての情報を開示する必要はないのですが、管理を巡って生じた問題や、理事会の議論の概要くらいは広報したほうがいいでしょう。

そのことで、区分所有者の管理意識が高まり、専門的な知識を持つ人、過去に役員を務めて経緯を知悉している人たちからの助言・意見なども集まりやすくなります。

 では、どういった広報の手法があるでしょうか。まず考えられるのは、エントランスの掲示板に掲示したり、文書を配布したりすることです。

近頃はパソコンの普及により、比較的容易に作成できます。もちろん、手間はかかりますが役員で作業を分担して行っていけばスムーズに進みます。

 また、注目すべき手法は管理組合専用のホームページです。主な管理会社では、こういったサービスを行うようになっています。

 ホームページでは、様々なお知らせや報告を掲載している他、来客用駐車場や集会室の予約が可能な機能などが一般的になっています。ゆくゆくは、管理組合員へのアンケートや総会の投票なども行われるようになるかもしれません。

イベントも大切

 
 区分所有者の意識を高めるためには、イベントを行うことも大事なことです。自治会と連携しながら、様々な催し物を開き、組合員のコミュニケーションを深めていけば、管理の質が上がる契機となります。

 それは、イベントや広報もそうですが、情報を共有することで管理への関心が高まっていくからに他なりません。

書類の保管

重要で基本的な業務


 書類の保管は、管理組合の重要な業務のひとつです。それは、建物の構造や設備に関する設計図書、それらの保守点検・修繕などに関する記録、管理組合の運営に関する書類などです。

 至極当たり前のことなので、別段気に留めることもないように思われますが、そうではありません。意外にデベロッパーや管理会社から引渡しを受けていなかったり、引渡されても、いつの間にか紛失してしまうケースはよくあります。

 管理会社に預けっぱなしでは、必要なときにすぐ活用できなくなります。

少し具体的に、管理組合が管理すべき書類を挙げてみます。

○組合運営に関するもの

 ・管理規約(原本)  ・総会議案書  ・総会議事録  ・理事会議事録 
・各種の使用細則  ・駐車場契約書  ・管理規約等の保管場所の掲示

○修繕工事に関するもの

 ・設計図書  ・アフターサービス基準  ・建築確認通知書  ・長期修繕計画書
 ・修繕工事履歴  ・修繕工事請負契約書  ・建物診断報告書

○各種の保証書

 ・防水保証書  ・機器取り扱い説明書  ・機械式駐車場保証書
 ・エレベーター保証書

○管理会社との契約に関するもの

 ・管理委託説明書  ・重要事項説明書  ・管理仕様書  ・管理日報
 ・月次業務報告書

これらは例ですが、書類がしっかりと保管されていないと、いろいろと支障が生じて余分な費用もかかる可能性があります。

 ですから、どこか一室を書類保管用として確保して、理事長や理事が鍵を所持しておけば、ひとまず安心といえるでしょう。

専門委員会

専門委員会の設置


 管理組合が扱う問題の中には、時に専門的な知識や時間が必要であるものや、理事会では対応に困るものなどがあります。

 そこで必要になってくるのが専門委員会です。従来からも各々のマンションで、様々なかたちで専門委員会が設置されていましたが、管理組合における位置づけや権限ははっきりしないところがありました。

 そのためマンション標準管理規約では、理事会の機能向上のために、理事会直属の諮問機関として、専門委員会を明確に位置づけました。

 専門委員会の例としては次のようなものがあります。

規約改正委員会

 区分所有法の改正、標準管理規約の見直しなどを踏まえ、マンションの現状に即した規約の改正案を作成する

駐車場(運営、増設)委員会

 駐車場の利用方法や維持管理のみならず、敷地内の交通全般、さらにスペースの増設などについて、法的制限のチェックや区分所有者の意見調整、資金調達法の検討などを行う

リフォーム委員会

 専有部分のリフォームは、隣接する住戸のほか電気の容量や配管の位置など共用部分にも影響を与えるため、その工法や実施方法について、一定のルールや審査基準をつくる

隣地建設問題対策委員会

 隣地に建築物が建設される際、建築協定の締結や補償の問題が発生することがある。そこで、管理組合として区分所有者の意見をとりまとめ、交渉などを進める

総会の決議で決定


理事会決議だけでは専門委員会の設置は不十分です。やはり、総会の普通決議でその設置や活動内容及び権限などを決定しなくてはいけません。

それと、専門委員会の運営には理事会も関与したほうがいいので、理事が専門委員のメンバーを兼任することも必要です。

専門委員会は理事会の下部組織であるため、最終的な責任は理事会にあります。ですから、活動状況や検討内容などについては、定期的に報告を受けて、最終的な決定は理事会が行うのが妥当でしょう。

管理会社の使い方

3つの管理方式


 マンション管理に関わる色んな業務を、管理組合が処理する方法を管理方式といいます。これには3つのタイプがあります。

全部委託管理

 ・管理組合が基本的な意思決定は行うが、日常の掃除から管理員の派遣、設備類のメンテナンスまで、管理業務のほぼ全てをひとつの管理会社に一括して委託するもの

  メリット:管理組合の役員の負担が軽くなる
  デメリット:管理会社にまかせっきりになりがち。また、自主管理と比較して管理費    が高額 

一部委託管理

 ・管理業務の一部を管理会社に委託するものの、管理会社が専門業者に代行させているような業務については、管理組合が自ら行ったり、専門業者に発注や管理をするもの

  メリット:自主管理に比べると役員の負担が少ない。また全部委託管理より管理費は安い
  デメリット:役員の負担や管理費の設定が中途半端になりがち。また、管理会社や専門業者のコントロールが困難

自主管理

 ・管理会社には委託せず、管理組合が自ら管理業務を行うとともに、必要に応じて専門業者に発注や管理をするもの

  メリット:管理組合の活動が活発化する。また、管理費が安くなる
  デメリット:委託管理に切り替える際、管理費の値上げが困難。また、管理組合の役員の負担が増す

 この3つのうち、新築マンションで採用されているのは全部委託であり、